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ユダヤの葬式とシヴァ
新潟の地震でたくさんの方が亡くなっているようで、まだ暑い中東(北海道ではもう雪だそうです)からそれを実感するのはなかなか難しい。でも数週間前のエジプトの事件では私自身が突然に知り合いを亡くすという経験をしましたことからも、犠牲者の方々、そしてご家族の方に心からお悔やみを申し上げます。

さぁ、気を取り直して。今日はユダヤの葬式について。

ユダヤでは仏教のようにお通夜というものはなく、人が亡くなってからできるだけ早く葬式をし土葬されます。土葬される時は、キリスト教のように棺桶はなく、白い布に巻かれて直接土の中に埋められます。これは、神がアダムを土から創られたように身体のすべてが土に返るようにとされています。そして、この世を救う救世主が将来に現れたときに、全ての死者が蘇るとされているユダヤの救世主の概念からで、その蘇りを妨げないようにと、棺桶などの邪魔なものは一緒に土葬されません。

エジプトの事故やバスの爆発などで亡くなった方の遺体は、必ずしも五体満足というわけでもありません。そういう時には正統派ユダヤの専門ボランティアなどの方が、路上に、壁に、窓ガラスに、あちこちからほんの小さなかけらをも探して集めるというとても大切な作業をします。うーん。ちょっと生々しい話になりましたね。

そして葬式が終わると、遺族はシヴァと呼ばれる7日間の喪に服します。仏教の初七日のようなものでしょうか。このシヴァの期間、遺族は心地よい椅子などには座らず固い床に直接座り、上着には切れ目または直接に生地を手で裂いて悲しみを表します。そして遺族は7日間、家を開放して、亡くなった方の友人や親戚などの訪問者を待ち、亡き人について語り、悲しみをわかち合い慰めあい、訪問者は遺族を心からいたわります。こういう助け合いの心と行いはユダヤの社会ではとても根づいてるように思います。

シヴァの7日間が終わると、遺族にはそれからの一年間の喪がはじまります。これはほとんどの場合は自分の両親の死の場合ですが、兄弟などの死でも行われることもあります。一年間の喪の期間では、パーティーやコンサート、結婚式、お祭りなどの一切の祝い事の催し物には参加できません。愛する人を亡くしたことを受け入れる過程では、こういった楽しみの行動を制限された喪の時間はとても大切なのでしょう。

私も何度かシヴァに行った事があります。中には悲しいだけではなくてなんだかおもしろいシヴァさえありました。亡くなった人について悲しむだけではなく、彼らが残した美しく楽しい思いでも語られていました。
by ck-photo | 2004-10-26 02:42 | ユダヤ雑学


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