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一年でいちばんホームシックになる日
この国の新年は、毎年9月中旬あたりに訪れるユダヤ暦の新年。
おかげで西暦の12月31日も1月1日もまったく普通の日常。
本当につまらない。


実家では、大晦日の夜から元旦にかけて除夜の鐘が響きます。
それにあわせて御堂では父や兄、役僧さんがお経を上げ、
近所の方々が手を合わせにやってきます。
土蔵つくりの冬の御堂は寒くて寒くて・・・
じっと座っているのはまったくの苦行ですね。わははっ。

子供のころは鐘突き堂で除夜の鐘の係り。
百八つの鐘の数だけの小さなお菓子を抱え、
鐘を突いた方々にひとつずつお渡しする。

むかしは一回一回役僧さんが数えていたようですが、
それだとときどき突いた数が百八つよりも多かったり少なかったりするので、
実家ではあらかじめ百八つ分用意しておいたお菓子になったようです。
今、その係りはわたしの甥っ子がしているのでしょうか。

そしてお経の後には父から新年の挨拶があり、
高校あたりからは、今年は父は何を話すのだろうと楽しみにしていました。一年でいちばんホームシックになる日_e0009669_6305124.jpg

そのあとに家族と役僧さん、関係者の方々と、夜中の二時ごろまで黒塗りの御膳で元旦をお祝いします。

そしてみなさんが帰った後、ほろ酔い気分の父や兄は寝てしまいますが、わたしと母は着物の上から割烹着でお膳の後片付け。それが終わればもう3時過ぎ。

それがずっとわたしのゆく年来る年でした。

子供のころは選択の余地がありませんでしたが、
大人になってからはそんな実家への帰省がいやで仕方なかった年の暮れ。
まわりの友達などはスキー旅行に行ったりコンサートに行ったり。
でもうちではそれは許してもらえなかったので、毎年うらやましいなあと。

でも、なぜか遠い中東に住むようになって、もう30代も半ばになると、この面倒くさかった実家でのお正月がとても恋しいのです。

大晦日とお正月、
一年でいちばん家族を恋しく思い
日本を恋しく思う日となりました。

影で支えてくれている父と母ももう70代に近くなりました。
幸いなことに92歳になる祖母もまだまだ元気です。
来年のお正月はできることならば、実家で家族と一緒に迎えたいな。


みなさんもよいお正月を。
来年もまたよろしくお願いいたします。
by ck-photo | 2006-12-31 06:59 | エルサレム・エルサレム


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