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誰のためのホロコースト追悼日?
さて、ユダヤ暦では日没後から新しい一日が始まります。今夜からの一日はヨム・ハ・ショアーというホロコースト追悼日。夜の7時半ごろにちょっとした所要で、なんていうと大げさですが、本当はお菓子を買いに行っただけのこと、でダウンタウンに行きましたらば、服屋さんやらは追悼日のためにすべてすでに店じまい。開いているのはカフェだけ。

帰宅後、テレビではエルサレムのホロコースト博物館、ヤド・ヴァシェムにて行われた追悼式の中継が流れていました。いやー、イスラエルでこういう式典を見るといつも思うのですが、兵隊たちが並び、なんだかもうダサダサの式典です。ほんと、ここは実はいまでも社会主義国だったのかというか、1940年代建国当時のまま時間が止まっているんじゃないかという気がします。

式典ではイスラエルの首相などが参列し、カディシュと呼ばれる喪の祈りのようなものが読まれ、イスラエル国歌ハティクヴァ(希望)が歌われます。この追悼番組の後にはイスラエルに住むホロコースト生存者の番組が流れていました。

イスラエルに住むホロコースト生存者たちですが、当然、その多くが戦後にヨーロッパから移住してきた現在では年金暮らしのお年寄りです。ドイツなどからホロコースト謝罪金などがイスラエルに対して支払われ、そのお金はそういった彼らの生活補助、または謝罪金としてあてられるべくものです。そして、戦時中にユダヤ人個人が当時のドイツなどの地で所有していたもの、たとえば銀行口座のお金などは、その子孫や家族、または本人に返還されるべきものであるはずなのですが、それも表向きのことであって、実際はイスラエル政府が管理しているといったアホらしさ。ホロコースト基金のようなところですらも、その会長などはそこから得た資金で裕福な暮らしをし、本来渡らなければならない人にそのお金が渡っていない。

そういった裏事情により、国がその生活を保障してあげなければならないホロコースト生存者のお年寄りの多くが、この国では貧困レベルに追いやられています。月々の年金は1400シェケル(4万円ほど?)あたりで、そのうち500シェケルほどもを医療費に当てなくてはいけないお年よりもいるのだそうです。一ヶ月4000シェケルほどは必要なこの物価の高いイスラエルで、たったの1400シェケルなどというはした金でどうして暮らしていけるのでしょうか。

イスラエルという、多くのユダヤの人たちにとっての祖国、家族、という国で、それが国民に、ホロコースト生存者に対して政府のすることなのかと。他の政府がしているのであればまた話は別ですが、国民に、つまり自分の家族の中に生存者または犠牲者がいる政府が身内に対してしてはならないことではないかと。彼らを守るのはこの国でありこの政府でしかないわけですから。

いったいこんな現状でなにが、そして誰のためのホロコースト追悼式で追悼日なのか。明日の午前中には黙祷をささげるサイレンが国中に響きます。たった今、テレビではホロコーストの実話映画、ソビブルの収容所から600人の囚人たちが大脱走する「Escape from Sobibor」(日本語では「脱走戦線 ソビボーからの脱出」)が流れています。
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by ck-photo | 2007-04-16 06:40 | 戦争と平和
マツァのサンドイッチ、ココナッツクッキー、いちご
過ぎ越しの祭りで食べるマツァを使ったサンドイッチ。
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素焼きのマツァだけを食べると便秘になるので、レタスなどのサラダ菜と一緒に。
手前から手作りさくらんぼのジャム、真ん中は玉子焼き、奥がホムス。
これにサラダ菜を乗せて、その上からもう一枚マツァをかぶせていただきまーす。
が、マツァはバリンバリンで食べにくいので、わたしは2枚で挟まずにこのままサラダ菜を乗せて。
ペサハの晩にはセデルと呼ばれる夕食会のようなものが行われるのですが、
そのときには、西洋わさびとハロセットと呼ばれる甘いペーストをつけて
サラダ菜とサンドイッチにして食べます。この甘辛がなんともグー。

ちなみに、セファラディー系のユダヤの人たちはペサハの間はホムスも食べないので、
こういう食べ方はしないでしょうな。

さて、久しぶりにマハネ・イェフダ市場探索でも。
またしてもいちごの登場。
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先日は1キロ8シェケルだったのが、
昨日は2キロで10シェケルでした。当然買いましたよー。
マハネ・イェフダ市場ではこうやってザザーッと掬って。
ジャムにでもしようかとお砂糖をかけておいたのに、ちょっと摘んでみたら甘くておいしかったのでそのままペロリ。粒がふぞろいなので裏の畑で獲れたよーってな感じ。

店先のマツァ。箱積みですな。
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蜂蜜と練りゴマでできた甘いお菓子ハルヴァ。
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ユダヤのお菓子というよりも、中東アラブのお菓子。たまに食べるとおいしいけれど、
カロリーむっちゃ高し。

一つつまんでみますかねー。
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ペサハ用のうそつきクッキー。小麦を使わずに、原料がココナッツだったりします。
おかげで舌触りがザラザラ。個人的には却下。
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こちらも同じくペサハ用のクッキーなので、見た目はおいしそうだけど、味はどうかなあ。
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西洋わさび。ペサハの時期にはこうしてフレッシュなものが出回ります。
スーパーなどでは一年を通して瓶詰めのものあり。
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by ck-photo | 2007-04-05 20:55 | 中東の食卓+α
マツァボールのスープ

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久しぶりにこんなものを作ってみました。
エルサレムに住み始めたころは
中東やユダヤ料理がおもしろくて
いろいろと作ってみたものですが
最近はとんと作らなくなってしまった。

今夜からペサハ(過ぎ越しの祭り)ということもあり、
たまにはマツァボールのスープもいいかな。

~ More ~
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by ck-photo | 2007-04-02 23:10 | 中東の食卓+α
ペサハ -春の脱出/心の掃除
さて、ここしばらくブログはあっちもこっちも放り出し状態なので、そろそろ少しはきちんとしないといけないですね。

エルサレムもいよいよ春の到来。今週の月曜、ユダヤ暦のニサンの月の15日にはペサハ(過ぎ越しの祭り)がやってきます。ペサハは、ユダヤの教えでも重要な十戒に関係する旧約聖書の出エジプト記にまつわる行事で、ユダヤの伝統と歴史を語り継ぐ役目でもあり、ユダヤの暦でもっとも大切な祭りのひとつです。

ずっと昔、長い間エジプトのファラオの元でピラミッドを作ったり、いつ終わるとも知れない奴隷生活をしていたユダヤの人々ですが、同じユダヤ人だったモーセはそんな彼らをそこからの脱出へと導きました。しかしファラオは自分の奴隷たちのエジプト脱出を黙って見逃すわけもなく、脱出を妨げようとするファラオに対し神はさまざまな災害を起こします。そのひとつでは、神はエジプトに生まれた長男の命を一人残らず取り去るのですが、そのときに玄関先に羊の血を塗ったユダヤの家にはその災害をもたらさずに過ぎ越すということから、この祭りは過ぎ越しの祭りと呼ばれます。

そして神とモーセに導かれエジプト脱出に成功したユダヤの人々は、エジプトとイスラエルの間にあるサイナイ半島と呼ばれる砂漠を40年間ほども彷徨った後に、「我が唯一の神である」「汝殺すことなかれ」など10の教えが書かれた十戒をモーセが神により授かりました。その後何千年にも渡り親から子へとユダヤの家庭にて繰り返し繰り返し、神が彼らをエジプトから脱出へと導いたことを忘れないようにと出エジプト記がペサハの祭りのときに伝承されてきました。ちなみにこのサイナイ半島、もうちっと若かりしころに何度か行ったことがありますが、本当に美しい。真っ青な紅海と赤い砂山。月と星。それ以外には何もない幻想的な砂漠で、おのずといろいろなことを考えずにはいられない。

ユダヤの祭りまたは行事には、必ずといっていいほど食事が関係していますが、7日間のペサハの間ではイーストと小麦を使ったものは禁止となり、パンの代わりにマツァと呼ばれる味のないクラッカーのようなものが主食となります。これはモーセに導かれたユダヤの人々がエジプトを脱出したときにあまりにも急いでいたので、急いでイーストの入っていないパン種のようなものを焼いて食べたことにあります。イーストは「膨らむ」、つまり傲慢になったりおごり高ぶったりする、感謝の気持ちを忘れてしまう、ということなどを象徴し、ペサハではそれらを改める意味合いもあるのでしょう。

そこでペサハの前には、ユダヤの各家庭では特に台所の小麦削除を中心として、台所の棚や冷蔵庫などはもちろんのこと、一年に一度の家中の大掃除にかかります。そして家の中に小麦製品を残さないようにと、パスタなどの麺類やパン、クッキー、ケーキ、スープの素(小麦が入っている場合が多い)、ウィスキーなど、ありとあらゆる麦を原料とするものはペサハの前までに食べきるかして処分します(ヨーロッパ系のアシュケナジー系ユダヤの人たちには、ペサハの間には小麦類に加えて米や豆類も食べない家庭もあります)。この二週間ほどは、会う人会う人、掃除でもう大変よー!ですが、一年に一度の大掃除、家も気分もすっきりしてよいのではないかな。

さて、そうして掃除し終わったペサハの前の夜には、わざわざパンのかけらを数切れソファーの後ろなどに隠しておいて、真っ暗に電気を消した中、懐中電灯で床を照らしながらそれを探すという家庭もあります。暗闇の一筋の光の中にいらないものを探す出し取り除く行為は、自分の頭と心の中の比喩であり、これも一年に一度の心と精神の大掃除とでもいえばいいのでしょうか。

ペサハについては著書『ロスト・ラゲッジ』にもちょろりと書いたのですが、人はそれぞれに何らかの柵(しがらみ)や、多かれ少なかれ「まあええわ~」と怠惰な状況にいたりと、本当に心に問うことをせず、しなければならないことに背を向けて、流されつつある日々の奴隷状態にあるのだろうと。ペサハの訪れを機会にそれらを見つめ直し、整理し掃除し、そこから脱出するのが精神の出エジプトなのではないかと。容易いことではないけれど、人は生まれてからその生を終えるまで自己の精神をできる限り磨き続けること、それなしにして生は意味を持たないだろうと。そう思うと、この一年を振り返るとわたしもいろいろと改めなければならないことばかりです(去年も出エジプトについてちらりと書いていたのですが、まあ、同じようなことを書いてました(笑))。


*この時期にイスラエル、特にエルサレムを訪問される方々へ。レストランやホテル、スーパーなどでもパンやパスタ、クッキーなどの小麦を原料とする食べ物は置いてありませんのでご注意を。エルサレムでは街中のピツァ屋、ベーグル屋などはこの期間は閉まっています。一週間の小麦なしは結構つらいかも知れませんが、お米は場所によっては食べられますので。

ミルトスのHPでの説明はこちらから。
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by ck-photo | 2007-04-01 05:59 | ユダヤの暦