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カシェルなキッチン
昨日は午後からエルサレムの「ひげもじゃんベッド・タウン」、正統派ユダヤの友人宅へ仮庵の祭りのパーティーに行って来ました。友人宅のベランダのスカでのバーベキュー。自宅からバスで25分ほど、おおー、そこは異次元、見渡す限りひげもじゃん。

パーティーの写真はありませんが、さて、おなかもいっぱい。後片付けにキッチンへと。おやっ、ひげもじゃん宅のキッチンでは必須アイテム、双子シンクではありませんか。

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ユダヤの食品についてよく耳にする「カシェル(発音によってはコーシャー、コシェル)」ですが、そもそもカシェルとはヘブライ語で「適正、正しい」という意味で、食品以外でも聖書や祈祷書などの書物、礼拝用に用いられる道具、女性のミクヴァでの沐浴時などにも用いられる言葉です。また、正統派では見合い結婚では婚儀の前に数回顔合わせをするくらいで、婚前に肉体関係も持つのはタブーですが、現代風なモダン・オーソドックスと呼ばれる人たちのデートなどでも、清く正しいデートを「カシェルなデート」なんて言いますね。

さて、話は少々ずれましたが、食品のカシェル規定にて定められていること(旧約聖書レビ記11章参照)では、ひづめの割れている動物、胃袋が反芻した動物、そしてそれらの動物もカシェル規定の屠殺法と血抜き処理されたものだけが食べてもよいものとなります。よく豚は衛生面などで禁止されていると思われていますが、園根拠は信憑性はなく、単に胃が反芻していないので食べることを禁止されています。また、海のものでは、鱗とヒレのあるものだけが食べられます。くらげやイカ、サメなどは食べられません。野菜や果物についてはどんなものでも食べられます。

さらに食品カシェル規定には、これらに基づいたいろいろな事項があります。その中のひとつでは、乳製品と肉類を混ぜて調理する、または同時に食べることが禁止されています。それぞれ単独で食べるにはもちろん問題ありません。

例えば、禁止されている乳製品とお肉のメニューはこんなもの:

◇クリームソースの添えられた(または一緒に調理された)肉料理
◇ミートソースのスパゲッティにかけるチーズ(チーズ抜きならぜんぜんオッケー)
◇サラミやハムとチーズのピザ
(イスラエルのピザ屋ではありえなかったメニュー。非ユダヤ人の移住により最近はそれもちょっと変わってきましたが)
◇チーズ&お肉のラザニア(イスラエルではたいていはトマトソース&チーズのラザニア)
◇お肉の入ったカレーにヨーグルトを入れる(カシェルではあり得ないレシピ)
◇お肉入りクリームシチュー、グラタン(これもまたダメー)

さらに、肉類を食べた直後には乳製品の摂取はせず、何系のユダヤ家庭かによって乳製品を口にしても良いインターバルは異なりますが、一般的には3-6時間待たなければなりません。なので、ステーキを食べた後、デザートにミルク入りの珈琲やバター&ミルク、クリームが原料に含まれているクッキーやケーキなどはタブー。替わりに原料が豆乳などの代用ミルクやバター抜きのクッキー、卵白で作られたホイップクリームのケーキ(これがまたコッテコテのアマアマ)などを食べます。

その他、基本的にカシェルで禁止されている食品には、豚やウサギなどひづめが割れておらず、胃が反芻しないもの。鱗とヒレのないもの(:えび類、イカ類、貝類、うに、なまこ、うなぎ、穴子、サメ(ふかひれもね)、カニ、すっぽんなど)。また、へび&とかげなどの地を這うもの、ある種のイナゴを除く昆虫類、などなど。

そして台所では、ガラス製以外のお皿(陶磁器)やナイフ・フォーク、まな板、鍋、オーブン&電子レンジなどのキッチン用品も、それぞれ乳製品用とお肉用に分かれていて、別々の戸棚にしまいます。シンクも上の写真のように乳製品用とお肉用に分かれ、スポンジもまちがえないようにと乳製品用はブルー、お肉用は赤と分かれているのが一般的。

と、まあ、簡単にカシェル講座してみました。
by ck-photo | 2005-10-21 08:40 | ユダヤ雑学


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