安息日用のパン
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今日はこの「?」なパンのお話でもしましょうか。

安息日用のパンは「ハラ」と呼ばれます。和訳された旧約を読むと種無しパンと書かれていることがありますが、これはまったくの誤訳で、このハラと日常に食べるパンとの違いはなく、イーストも入っていますし、材料も作り方も同じものです。

さて、現在では黄金のドームが建っている場所ですが、それ以前にはそこにはユダヤの神殿がありました。話はその時代にさかのぼります。じーざすさんの生まれる950年も前の昔の時代の話。その紀元前950年頃から紀元70年、ユダヤの第一と第二神殿がローマとギリシャに破壊されるまでの間、ユダヤの人々はこの神殿に基づいた規則の生活をしていました。

神殿とは、そこにユダヤでいう「世界で唯一のカミサマ」が住んでいる場所ではなく、ユダヤの人々とカミサマとがミーティングできるオフィスのようなものとでも言いましょうか。その神殿は誰でもいつでも出入りできるわけではなくて、コハニム(コーヘンの複数形)と呼ばれる神殿の司祭たちがいて(現在のユダヤ系のコーヘンという苗字はここから来ています)、司祭でもなんでもない一般のユダヤの人々は、その当時、収穫物の10%をコハニムの日々の糧として彼らに寄贈していました。

しかし、神殿が破壊されてからは当時の規則や法律は成り立たなくなり、収穫物の10%もコハニムに寄贈する必要もなくなりましたが、神殿の崩壊から現在までかつての神殿の記憶そして未来のいつの日にかまた新しい神殿が建つことを思い続けることが、ユダヤの生活の中に取り入れられています。たとえば小麦や果物などのあらゆる収穫物の一部は、神殿時代のように10%ではなくほんの少量ですが、同じように分けられ、食べられることはありません。

そしてパンを作る時には、まずはじめするのは、こねたパン種の一部をかつてはコハニムに寄贈したように切り取って、それを誰も食べないように火の中に入れて焼いてしまいます。この、「はじめに行う」という言葉をヘブライ語で「ハトハラ」と言い、この部分を「ハラ」と呼ばれますが、これが安息日のパンがハラと呼ばれる由縁。

四角いイギリスパンのようなもの、まあるいもの、いろんなカタチがくっついているものなどなど、ハラの形も様々。その中でも代表的ななものは、4つ編にしたハラ。そして日本の小正月のような安息日には、最高においしいハラを食卓に乗せようとママのホームメイドや店先のおいしいハラが競い合って求められます。

ユダヤの法では、安息日には三度食事をしなければならないのですが、ユダヤの食事ではパンがなければ食事とはされず、安息日の食卓にはハラは欠かせません。一食目となる安息日の晩のフルコースの晩餐とハラ、二食目の安息日のブランチとハラ、そして安息日が終えようとする前に最後のアフタヌーン・ティーならぬアフタヌーン・ハラ、と安息日はハラを囲んでのフルコース。そして安息日が明けた翌日の日曜日などには、残ったハラでフレンチトーストなどなど、毎週こんな風に食べるものだから、みんな太っちゃうんですよね。

おまけのにゃんこせんせー。
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by ck-photo | 2005-01-24 07:25 | ユダヤ雑学


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