アメリカン・コロニー・ホテルにてコーランの響きを聴きながら
さてと。

先日の東エルサレムの旅の話が途中でちょん切れたままでした。

旧市街を出てから北上して、東エルサレムのアラブ地区の中を歩いて行ったのですが、その前日に旧市街でかなりの数の写真を撮ったおかげで、この日アラブの町で撮った写真のほとんどはピンボケでございまして、あまり載せられるような写真がありません。あの日、カメラを構えると筋肉痛というかね、腕がぶるぶるしちゃって・・・。

まあ、それはいいのですが、あれから「?」の看板や電気屋さんやレストランなどが並ぶ通りを通り抜けると、あら?こんなところにイスラエルの国旗がはためいて、建物の前には二人のガードマンが仁王立ちでマシンガンを担いで立っている。出入りしている方の格好は、ほぼ、正統派ユダヤひげもじゃ。「ベイト・ミシュパット」・・・ああ、裁判所の一種ですか。そしてここへ出る途中にとてもきれいな庭のあるお屋敷の前を通ったのですが、ひょっとしたらアラブのお金持ちのお屋敷かなとワクワクしたのでしたが、正面に回ってみると「Albright Institute(オルブライト研究所)」と。なんだ、がっかり。

e0009669_6314530.jpgそして、次に目指すはこちら。エルサレムでも、というか、ある意味で世界的に有名なホテル、「The American Colony Hotel(アメリカン・コロニー・ホテル)」へと。

この歴史あるアラブ経営の美しいホテルですが、現在では欧米からのジャーナリストご用達で、しかもほとんどの方が親パレスチナなのを常々とても不思議に思っていたのです。  

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去年の記事の「アメリカン・コロニー・ホテルから、和平への道」では、「お金儲けのためなら握手もしちゃおう!」と、パレスチナとイスラエルのホテルマネジャーたちがこのホテルで落ち合って頭を抱えて、経済回復のために現状についてを語り合ったという事を書いて、それはそれで、そんな理由からでも両者が仲良くできるのならばそんなにうれしいことはないじゃないか、と思っていたこのホテル。

e0009669_6344225.jpgクリスマスから新年にかけては、ジャーナリストではなくて、欧米からの観光客や巡礼客で賑わいを見せていて、ここのアラブ・コーヒーがなんとも言えずおいしい。

ホテルの入り口は今通ってきたアラブの町の様子とは別世界的にライトアップされ、どこかヨーロッパの小さなホテルのようなたたずまいさえ感じられる。

そして足を一歩踏み入れたホテル内は石造りのアラブ・スタイルで、しかもそこに施された赤と緑のクリスマスのデコレーションがなんともミスマッチなような不思議な華やかさ。個人的には普段のさりげないアラブな内装が好きなのですが。

ホテルの奥のカフェには、アメリカからのキリスト教徒の宿泊客でいっぱいで、アラブの若い男の支給人達がくるくると忙しそうに働いていて、しかも彼らは客を王様のように扱うのがとてもうまく手馴れている。どうもここへ来ると誰も彼もが王様とお妃様になってしまうよう。

このカフェで、新市街のカフェよりも遥かにおいしくしかも値段も半額ほどのアラブコーヒーを注いでは飲みしながら、その心地よさに辺りを見回す。耳に聞こえてくるのは英語ばかりで、そのうちにその合間から夕方の祈りのコーランが響いてきた。

このホテルの空間は東エルサレムのアラブの町に作り出された架空の空間と言ってもいいほど、ここの現実ではありえない、とてもうまく計算された空間だということに気がついた。アラブ独特の装飾的で少しナルシストな客人のもてなしのあり方と、この現実離れした幻想的な空間に、それとはまったく異なる外の現実から流れてくるコーランの響きは、ここに実際の生活を持たない外国人には何と言っても感覚を麻痺させるほど魅力的というほかに言葉はない。

このホテル内のそういった空間は、まったく装飾的ではなくひたすら実質的なユダヤには決してまねのできないもので、そういう意味では彼らには到底太刀打ちはできないのだなぁと。

深い落ち着きのある椅子に座ってアラブコーヒーを注ぎながらコーランを聴きながら、そしてすっかりと日が沈んだ東エルサレムの通りへとホテルを後にした。通りはただ簡素で味気なく色もなく、そこから新市街のユダヤの正統派の黒いゴミゴミとした町へと、現実へと、道は続いていた。

なぜここに泊まるジャーナリストが親パレスチナなのか、またはここに泊まる事によってそうなるのか、なんだかちょっとだけわかった様な、そんな気がした。

さて、おまけ。ホテルなどの化粧室チェック、好きなんですねぇ。ここの化粧室はなかなかグー。さほど大きくないですけど、清潔・実用的かつ落ち着く、の3拍子。赤ちゃんのおしめ替え様のベッドもちゃんとありました。e0009669_6351841.jpg
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by ck-photo | 2005-01-14 06:33 | エルサレム・エルサレム


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