「塀の向こう」の別荘で
昨日からなぜか友人が出たり入ったりの自宅ですが、男友達の何人かは「塀の向こう側」、ム所生活体験者。といってもヤーさんではない。彼らの別荘生活の理由は様々ですが、今回は昨日うちに来ていたシャウル君のお話。

昨夜9時ごろにうちに遊びに来ていたシャウル君。いきなりうちへ入ってくるなり、「東はどっち?」「あっち→」と私が指差す方へ向かって体を揺らしながらお祈りを始めました。どうも夕方の祈りをまだしていなかったよう。「東」は嘆きの壁のある位置で、彼らはどこにいようとそちらを向いて祈りを捧げます。

さて、このシャウル君もまたヨーロッパからの移民ですが、イスラエルの法律ではこの国に移住した時点で26歳未満(だったと思う)の場合は、数ヶ月の基礎兵役につかなければなりません。彼もその規則に則り、陸軍の基礎トレーニングコースを終えて、そのあとはまた今度、ということで軍隊から一時開放となりました。そして、いわゆるコンピュータ天才君の彼は、エルサレムのハイテク企業でプログラマーとして働きながら引っ越しを数回しましたが、すっかり新しい住所を軍隊へ届け忘れたままでした。

ある日、移転先へ「すぐに出頭せよ!」と軍隊からのお叱りがあり、軍へ行ってみると、「兵役拒否」により別荘生活2ヵ月半を言い渡されたそうです。軍はシャウル君の以前の住所へ、再々、基礎トレーニングの次の段階へ参加するようにと封書を送ったらしいのですが、もちろんシャウル君はそんなことは知らず、のほほんっと移転先で楽しい毎日を謳歌しておりました。それがいきなりヤローばっかりの「別荘生活」と来たもんだから、彼も必死になって、引っ越したので軍からの連絡を受け取っていないことを証明しようとしましたが、軍はそれをあっさり却下し、こうしてシャウル君の別荘生活のはじまりはじまり。

日本でもいつだったか、イスラエルの若者の兵役拒否と投獄について新聞・マスコミで非難されていたのを思い出したので、シャウル君に突撃インタビュー。「衝撃!イスラエル軍によって投獄されたある無実の若者の告白!」  By へぼへぼジャーナル。マイク片手に話を聞いていると、ふむふむ。あらっ?別荘生活、楽しかったの?!

シャウル君は投獄といってもテントで寝泊り。あら、キャンプみたいじゃん~。決められた時刻に起床後テントをたたむこと、それだけがム所での彼の一日で決められたことで、あとの日がな一日、本を読んだり勉強したり、と好きなことをしていたそう。しかも3食付タダ飯で(もちろん費用は市民の汗水流した税金から出ているワケですが)。

シャウル君、「うん、楽しかったよ。」とにっこり。そして、2ヵ月半後に軍からこの先の配属希望を聞かれ、「ジェニンなどでのコンバット部隊はやだから、頭を使う情報部にしてよ~っ」と頼むと「はい、あなたはこの軍隊に不適格。もう二度と召集はありません。いりません。ごきげんよう、さようならっ。」とあっさりポイっと捨てられて釈放。

イスラエルの男性は兵役を終えた後も何十年と一年に一度予備兵として一ヶ月くらい招集されるのですが、シャウル君はなんとそれも生涯免除。理由は単に「不適格」だからだそうな。いまだに一体何が不適格なのかわからない彼はとりあえず「うほほ~っ」と大喜びです。
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by ck-photo | 2004-12-02 17:12 | 混沌の文化


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