テヘランの死と強制収容所でのある若い一人の女性の死
「テヘランの死」

一人の金持ちのペルシャ人は召し使いと彼の家の庭を散歩していた。すると従者は死の使者に出逢って脅かされたと悲嘆しはじめた。そして召し使いは主人に頼んだ。

「足の速い馬を一頭いただけませんか?大急ぎでテヘランに逃げたいのです」

主人は召し使いの言うとおりに馬を与え、召し使いは夕方までにテヘランに着くように急いで馬を走らせて行った。そして召し使いが出かけたあとで、今度は主人が死の使者に出逢ったので、主人は尋ねた。

「どうしてお前は私の召し使いを脅かしたのだ?」

死の使者は言った。

「私は何もしていない。ただ、彼にここで逢ったのでびっくりしたのだ。なぜなら私は今晩テヘランで彼に逢うはずだったのだから・・・。」



「強制収容所でのある若い一人の女性の死」

この若い女性は自分が近いうちに死ぬであろうことを知っていた。それにも拘わらず、私と語った時、彼女は快活であった。

「私をこんなひどい目に遭わしてくれた運命に私は感謝していますわ。」

と言葉通りに彼女は私に言った。

「なぜかと言いますと、以前のブルジョア的生活で私は甘やかされていましたし、本当に真剣に精神的な望みを追ってはいなかったからですの。」

その最後の日に彼女は全く内面の世界へと向いていた。

 (V.Eフランクル著「夜と霧」参照)
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by ck-photo | 2004-11-01 04:21 | 日曜の哲学カフェ


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