イスラエルの飲酒の習慣
ちょっとしたきっかけで、しばらく考え中の「イスラエルの飲酒」について。

日本では飲酒に関してなんだか物々しいほどの処分やら騒ぎのようですが、それにしても日本の人ってよくアルコール類を飲むなあというのがわたしの感想。酒を飲めないのは男じゃない、なんて都合のよい言い分もあるようで、それも飲めない人、またはアルコール類が好きではない人には拷問でしかない。

さて、イスラエルの飲酒ってどうかなあと考えたところ、わたしのまわりのユダヤの人たちにおいてはあまり飲まない。はじめてイスラエルに来た当時、1989年だったか1990年ごろですが、このころの20代でも、あまり飲酒していたという記憶もない。テルアヴィヴなどのビーチに行けば、まあ、マカビかゴールドスターの一本ぐらいは飲む人もいたけど、友達の家で集まったりしても、アルコールをたしなむという習慣はあまりなかった。

当時、安息日のはじまる前、金曜の午後には、ホフ・マアラビというテルアヴィヴのビーチでのパーティーがとてもはやっていた。ビーチのカフェ・バーから流れる音楽に踊る人たち。TOTOの「アフリカ」やREMがよくかかっていた。そこでも、やはりビール一本ぐらい、もちろん、その後でみな車を運転していたけど、飲酒運転の取締りなんてしているところは、この16、7年間で一度も見たことがない。

彼らの親の年代や50代になると、ほとんどアルコールの飲酒はなく、夕食後に親戚や近所の友達を訪ねていっても、たいていはミルクと砂糖たっぷりのネスカフェにクッキーかケーキ。イスラエルにはアラックと呼ばれる安いウォッカのようなものもありますが、ビールやそういったアルコール類が出ていたという記憶はない。

ワインになると、当時はワインは安息日などの祈りに使うものという感覚だったようで、普段アルコールを飲まないので、飲みやすいように甘いワインが多かった。なので、普段におしゃれにワインを飲むということもまったく記憶にないし、ちょっとワインを飲んだだけでもほろろろっと酔ってしまう人も多かった。

それが、ここ数年でガラリと変化してきたように思う。テルアヴィヴでは、おしゃれな欧米風のレストランが立ち並び、そういったレストランはだいたいがカシェルではないので、それにあわせてワインもカシェルでないものも多い。ここ数年で、テルアヴィヴでカシェルのレストランを見つけるほうが大変になってきた現状。世俗派では、友達どうして誰かの家での食事に集まるときなどでも、今ではワインを手土産に持っていくことも。

そんなこんなで、エルサレムではどうかというと、テルアヴィヴとはまたちょっとちがう。住民の30%が正統派ユダヤとあってまだまだ宗教色が濃く、あとはアラブが30%(基本的には彼らも飲まない)、世俗ユダヤが40%。その40%の世俗人口での飲酒はやはりビールが主流。最近ではアイリッシュ・パブが大流行で、ギネスなども飲めるようになった。時々、アメリカからの留学生たちが酔っていることがあるといっても、へべれけに酔った若い人、というのはあまりお目にかからない。ちなみに、正統派ユダヤでは遊びで飲酒するということもほとんどなし。彼らが飲むのは、祭りや安息日の祈りに使うワインぐらいで、でも安息日だからといって、たくさんワインを飲むわけでもなし。まあ、グラスに一杯か二杯ぐらいでしょうか。最近ではエルサレムでもカシェルでないワインを置いている店も出てきましたね。これもこの国の時代の流れというか。

なので、イスラエル、またはユダヤ人の飲酒の習慣と文化はどういうものかと考えたら、わたしのまわりの世代もしくはそれよりも年配世代では、世俗、宗教的にかかわらず、ユダヤの人が飲酒をするという文化はあまりないように思う。今の20代になるとロシア移民なども多く、これまでとはちがった飲酒文化なのかもしれませんが。

なぜユダヤに飲酒の文化がないかについては、やはりカシェルの問題などユダヤの伝統と歴史とにかかわりがあるのかなと。ディアスポラで散らばっていた長いあいだも、伝統的にはカシェルでないワインは飲まなかったでしょうし、コミュニティーで生きてきたユダヤの人たちが、ユダヤではないほかの人たちと交わってアルコールを飲むということもなかった。まあ、そんなところからではないでしょうか。
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by ck-photo | 2006-10-10 22:32 | 中東の食卓+α


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