菓子職人のお父ちゃん。
あの日、エルサレムの旧市街の裏路地を歩いていた。

この日はいつものダマスカス門やヤッフォ門ではなく、他の門からそっと入ってみた。
細い石畳の路地には、アラブのオトコばかりの水煙草のカフェ、おばちゃんの露店八百屋。
しかしダマスカスの大きな市場とはちがって、もっとひっそりと地道に庶民的な空気が流れる。

おや、なんだろう?甘いにおいが。
作りたてのアラブの甘いお菓子が並んでいる。
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半分地下のような、薄暗い菓子工房。
粉だらけのエプロンのお父ちゃんとボク、そして近所の子供たちだろうか。
すると、どこかのタコ親父が「ちょっとちょっと、寅さん!」とでもいうように、
工房内に滑り込んで、お父ちゃんとなにやら世間話。
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お父ちゃんとおそろいのエプロンをしたボク、
日本人の私を見るとちょっと照れて、うれしそうにはにかんだ。
それを見たお父ちゃんは私を工房内に招き入れる。

「ちょっと、ネエサン、待ってやってな!ほら、お前ら、ちゃんといい顔して並べヨ!」
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お父ちゃんとボク、タコ親父に近所の子供。
裕福でもなんでもない、裏路地の小さな菓子工房。

でもたったそれだけのことなのに、
なんだか知らないけれど、
胸の奥が甘く懐かしく、じーんとあたたかくなった。
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by ck-photo | 2006-08-06 07:43 | 中東の職人技


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