パズル
とりあえずブログ休み中ですが、忘れないように雑感メモ。

ソフトウェアなどのローカライゼーションという仕事柄、何人かの翻訳者たちが集まって、その日限りの即席チームとなることが多い。ここ数日はイスラエル北部の町Or Akivaの企業での仕事だった。このオファーがあった時は「遠いから」と断ったのだけど、マネージャーが「今回のはゼロックス関係だから、どうしてもCKちゃんにやってほしい」と、エルサレム近くに住むスペイン語の翻訳者の方をチームに加え、往復4時間の行き帰りをその方の車に乗せてもらえるというセッティングをしてくれた。自分でバスと電車を乗り継げば往復に5時間はきっちりかかるところ、本当にありがたい。

その日の朝、さっそくそのスペイン語翻訳者が自宅の前まで迎えにいらしてくれた。「おはよう!僕はヨセフ」「おはよう!私、CK」と笑顔で挨拶をして車に乗った。50代半ばの男性。お髭は真っ白で、頭には黒いキパが乗っている。Or Akivaまでの道中2時間、何気ない話をしてゆくうちに、どうも私はこの方に会ったことがあるような気がしてならなかった。しかしどこで、いつ、なのかがわからない。ひょっとしたら気のせいかもしれない。そして顔見知りのフランス語翻訳者も加えての忙しい一日が終わって、帰宅。疲れた~。

その晩、記憶を手繰ってみた。どこでヨセフとの接点があるのか、どうしても気になって記憶のパズル。どうも思い出せないので、ネットを使って彼の翻訳した書籍などを調べてゆくうちに、彼のバックグラウンドに行き当たり、記憶のパズルはここで過去と現在を結びついた。2001年の初め、私は彼の住む入植地を訪れていた。知人がそこに引越しをして、その祝いのパーティに行った。おそらくそこでヨセフと会っている気がした。

次の日の朝、2時間の車中でそのことをヨセフに話すと、さらには10年以上も前にアラブ人たちに殺されたお互いの共通の知人がいることがわかり、彼の顔がパーっと明るくなった。そんな偶然ってあるだろうか?と。実は私の親友I君の母とその亡くなった方の母が幼馴染で無二の親友だというところまで話は彫り下がっていった。

それから話は今日の総選挙のことになり、かつてはレバノンで負傷し、その後もテロなどによって友人を亡くしたヨセフは、投票には行かないという。政治や政治家、裁判などのシステム、もはやそれら一切を信じはしないと。大衆の大多数は考えることをせず、そんな大衆の選択する政治家にも政治にも意味も興味もないと。

車は時速100キロで高速をハデラ方面にむけて走ってゆく。道の両側にはかれこれ30分ほどばかりも目を見張るような大きな裕福そうなアラブの街が続き、モスクや塔があちこちに佇んでいる。テロリズムの中心となっている大きなアラブの街も通り過ぎる。その街の半分はパレスチナ側に、そして残りはイスラエル側に。しかしそのテロリズムの潜んでいる街とイスラエル側との間に分離壁はなく、なぜこんなところにと思うようなところに短くその壁は存在していた。

色々な思いが頭の中を駆け巡る。この国、そしてここに住む人たち、過去と現在、そして未来。私。

今回の選挙が、どれほどの意味をこの国と人々にもたらすのだろうか。一つ一つのパズルの断片が埋まってゆく。
[PR]
by ck-photo | 2006-03-28 20:48 | 戦争と平和


<< ただいま 春だから。旅に出かけてきます。 >>